桜葉の薫り「静7132 天竜茶 上阿多古観音山 2018 1st」

 品種茶「静7132」は静岡県茶業試験場で「やぶきた」の自然交雑実生から選抜され、永らく系統番号のみで呼ばれたマイナーな品種でしたが、桜の葉と同じ香気成分を含んでいることから近年注目され、静岡市清水区では幸せのお茶「まちこ」の名でブランド化されています。  

  桜葉と同じ香気成分はクマリンという天然の芳香族化合物で「やぶきた」には含まれていないそうです。

静岡県浜松市天竜区懐山 2018年産 
天竜煎茶 浅蒸し 
静7132シングルオリジン 


 第66回(平成24)、第71回(平成29)「全国茶品評会」普通煎茶4kgの部一等一席「農林水産大臣賞」受賞茶園の観音山麓にある茶畑で品種が持つ特徴を最大限に引出すよう丹精込めて作られました。


 最大の特徴である「桜葉の香り」ですが、天候等の影響から年によって強い、弱いがあるようで、人によっては「まちこ」「静7132」を買ってみたけれど、今一つよくわからないという声も耳にします。

 薫りを強調させようと「萎凋」を行なうと…桜の薫りは薄れてしまう…という「静7132」

 薫りが上手く出るかどうかは「お天道様次第」のようですが…


 今年の懐山産「静7132」は桜葉の香りがよく出ていて、

天竜楽市二俣店で試飲されるお客様も大半が「桜餅みたい!」と言って購入されていきます。

淡麗--★---濃厚 
甘味☆☆☆☆ 
旨味☆☆☆☆ 
苦味☆☆☆☆ 
渋味☆☆☆☆ 
香気☆☆☆☆☆

  
 一煎目、2g、35ml、50℃、2分ほんのりと漂う桜葉の薫り。ややあっさりめの淡麗な飲み口で、最初は渋味が感じられるが、すぐに旨味と甘味が広がり、やがてチョコレートのようなほろ苦味。最後に甘味の余韻が口の中に残る。

  二煎目、70℃、30秒、二煎目の方が桜の薫りらしさがよりわかるようになる。旨味は後退するが、渋味、甘味、苦味と変わり最後に甘味の余韻という味の変化は変らない。

  三煎目、90℃、薫りは後退、苦渋味は殆ど感じられなくなり、スッキリとした爽やかな甘味、清涼感。

  一煎目抽出後の茶葉を食べてみると、茶葉というより桜餅で慣れ親しんだ桜の葉の味覚に近い。三煎後の茶葉は苦渋味も少なく食べやすい。桜の葉のような食感を楽しむなら一煎淹れた後の茶葉をスイーツや料理の素材にするのも面白い。


 低温抽出でテイスティングしてみましたが、高温で淹れた方が桜葉の香りは引立ってきます。静7132は旨味の強い品種ですが、苦渋味も出やすいので、少し湯冷ましして70~80℃の湯温で淹れると薫りと旨味を楽しみやすいでしょう。

 数ある「静7132」の中でも、はっきりと桜葉の薫りと旨味を引出した「静7132 天竜茶 上阿多古観音山 2018 1st」桜のフレーバーを感じながら、ライトで爽快なテイストをお楽しみ下さい。

 

 


天竜楽市

静岡県浜松市天竜区は天竜川と秋葉の山々に囲まれた山間地。永い歴史と豊かな物産、伝統ある祭禮や観光、イベント情報を紹介するページです。

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