天竜深蒸し煎茶のディープすぎる世界

 

 濃厚な旨味と芳醇な薫りが凝縮された山のお茶は、その香味を僅かでも損なわないよう通常は浅蒸しで仕立てるものですが、深蒸し、特深蒸しに仕立てたとしても、平野部の茶とは一線を画しています。



静岡県浜松市天竜区(上阿多古)芦窪(三文平) 
2018年産 天竜煎茶 深蒸し 
つゆひかりシングルオリジン 


 第66回(平成24)、第71回(平成29)「全国茶品評会」普通煎茶4kgの部一等一席「農林水産大臣賞」受賞茶園にて五月上旬に摘採した茶葉を深蒸しに仕立てています。

 品種茶「つゆひかり」は、天然玉露と呼ばれる「あさつゆ」と桜のような爽やかな香気の「静7132」を交配から選別された、やや早生の品種で、爽やかな薫りとまろやかな滋味を特長とします。

淡麗---★--濃厚 
甘味☆☆☆☆☆ 
旨味☆☆☆☆☆ 
苦味☆☆ 
渋味☆☆ 
香気☆☆☆☆


 絞り出し急須での低温抽出(2g、35ml、50℃、2分)では深い黄金の水色。旨味を感じさせる芳醇な薫り、味わいは旨味が濃厚で、程良い苦渋味とふくよかな甘味。 
 深蒸し用のメッシュ網急須で高温抽出(3g、60ml、80℃、1分)では深いグリーンの水色となり、新鮮香が強い。旨味はしっかり出ていて苦渋味は少なく、深蒸しによるまろやかな甘味。旨味と甘味の濃厚な余韻が残る。

  淹れ方、茶器の選び方によって、山の普通蒸し煎茶の濃厚な味わいも、深蒸し煎茶のまろやかな味わいも両方楽しめる絶妙の蒸し加減になっています。


  豊かな旨味や新鮮香は一般的な深蒸し煎茶のイメージを一新するでしょう。

  深蒸し煎茶に馴染み普通煎茶の苦渋味が苦手という方にも、逆に一般的な深蒸し煎茶は今一つ物足らないとお感じの方にも、ご満足いただける「山の深蒸しつゆひかり」です。


静岡県浜松市天竜区西藤平 
2018年産 天竜煎茶 特深蒸し 
やまかいシングルオリジン 

 第66回(平成24)、第71回(平成29)「全国茶品評会」普通煎茶4kgの部一等一席「農林水産大臣賞」受賞茶園。

  同茶園は第69回(平成27)に「深蒸し煎茶」の部でも二等を獲得するなど深蒸し製法においても抜きん出た技術を誇っています。

  天竜茶の旨味を最大限に引出すには、やはり「極浅蒸し製法」が適していますが、希少な「天竜の特深蒸し茶」も孤高の魅力を放っています。


 「山峡(やまかい 系統名=静7166)」は、「やぶきた」の自然交雑実生から選抜された品種で、山のお茶らしい特徴から山の谷間を意味する山峡の名が付けられました。
  やぶきたから派生した品種ですが、香りも味もやぶきたとは大きく異なっています。


 特深蒸しとすることで、山峡独特の香気はやや弱まっていますが、フルーティーであり、時に「マヨネーズのような」と形容される山峡らしい風味が感じられます。

淡麗----★-濃厚 
甘味☆☆☆☆ 
旨味☆☆☆☆ 
苦味☆☆☆☆☆☆ 
渋味☆☆ 
香気☆☆☆☆ 


 水色は深いマッドグリーンになります。 

 一般的に特深蒸し茶の場合、水色は濃くても味は薄口になることもありますが、こちらの「やまかい」は、しっかり味が乗っており、旨味も充分感じられます。

  特徴的であるのは天然玉露といわれる「やまかい」でありながら苦味が強いことで、甘いまろやかさより目が覚めるような鮮烈なコクとキレが持ち味になります。

  その個性を逆手にとって3g/40ml/100℃/1分の抽出で他にはない濃厚な世界を味わうことが出来ます。苦味は強いですが、いつまでも口の中に残るわけではなく、最後は甘味に変っていきます。

  山峡は比較的メチル化カテキンを多く含む品種です。深蒸しにすることで茶葉の栄養成分をより多く摂ることが出来ます。二煎淹れた後の茶葉にも苦味は残っていますが、旨味もあるため、美味しく食べることが出来ます。

 コク、キレ、水色も味も全てにおいて「深い」のがこちら。

 目が覚めるようなカウンターパンチを浴びせてくれます。

 熱湯、濃いめ、長めのエスプレッソ抽出でディープな大人の世界を楽しみましょう。

天竜楽市

静岡県浜松市天竜区は天竜川と秋葉の山々に囲まれた山間地。永い歴史と豊かな物産、伝統ある祭禮や観光、イベント情報を紹介するページです。

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